これからの21世紀の医療において、こどもの健全育成を目指して母子の健康を守り、並びに高度先進医療によるこどもの難病治療センターの設立を基本理念として、2001年11月23日に総合母子健康医療センターは開設されました。
2020年1月 重症で緊急性を要する小児疾患の専門的高度医療とハイリスク妊娠出産のための大学附属病院直結の独立型母子医療センターとして母子医療センターとしてリニューアルオープンいたしました。
小児心臓外科部門は心臓血管外科学講座における小児心臓外科を専門とする一診療チームとして本センターの小児外科系部門の中核的役割を担っております。診療においては新生児、未熟児を含む小児から成人先天性心疾患までの広範囲の先天性心臓血管疾患を対象に、新生児科、循環器小児科をはじめ他の小児外科系診療科と密接な連携のもと、診断および外科治療にあたっています。また心血管系緊急小児疾患に対しても24時間緊急体制を整え対応しています。
附属柏病院心臓外科では成人心臓血管疾患を対象にした心臓血管外科的治療を行なっています。
具体的には、
1.虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞、心筋梗塞後合併症)
2.心臓弁膜症(大動脈弁狭窄症~閉鎖不全症、僧帽弁閉鎖不全症~狭窄症)
3.胸部大動脈疾患(胸部大動脈瘤、大動脈解離など)
4.成人の先天性心疾患(心房中隔欠損症)
5.心臓ペースメーカー手術
などを担当しております。
心臓大血管疾患は病気の性質上、急に発症し緊急手術が必要となる場合がありますが、緊急手術に積極的に対応しております。また、循環器内科で手術が必要と診断された患者様に対しては、その全てに手術対応させていただくことに努めております。
心臓血管外科では、手術の必要な小児の心臓病、胸部大動脈疾患、不整脈に対するペースペーカー植え込みなど、小児循環器に関するすべての手術治療を行っています。
手術を必要とする小児心臓病には、生まれてすぐに手術を要するものから、学童期に手術となるものまで多種多様ですが、当センターではあらゆる小児心臓病の外科治療を行っております。特に新生児最重症疾患(大動脈離断症、総肺静脈還流異常症、完全大血管転位症、左心低形成症候群など)に対する手術を積極的に行っています。1983年4月に当センター開設以来、4000例以上の心臓手術を行ってきました。
2016年12月にさいたま新都心に移転し隣接する埼玉赤十字病院と連携して総合周産期医療が開始され、年間200例以上の手術を行っております。先述した重症疾患の他に心室中隔欠損症、房室中隔欠損症、ファロー四徴症、修正大血管転位症など症例は多岐にわたります。
近年、胎児診断による手術症例の比率が増加傾向にあり、またキャリーオーバーとなった成人期先天性心疾患に対する外科治療も埼玉赤十字病院と連携して積極的に行っており、シームレスな県内完結型の外科治療を目指しております。
埼玉県立循環器・呼吸器病センター心臓血管外科では心臓、大血管及び末梢血管まで含めた、循環器系疾患を対象に、外科的治療法の適応と診断された患者さんに対して手術を行っております。
対象とする主な疾患及び手術は、狭心症、心筋梗塞などの冠動脈疾患に対するバイパス手術、弁膜症に対する人工弁置換術や弁形成術、大動脈瘤に対するステントグラフト術、人工血管置換術、先天性心疾患に対する根治手術などであり、さらに、閉塞性動脈硬化症に対するカテーテル治療、バイパス手術、下肢静脈瘤に対するストリッピング術なども行っております。
緊急に手術が必要な場合には、24時間いつでも対応できるように当直体制をとっております。
手術について年間約250例の手術を行っており、その内、人工心肺を用いる開心術が約150例を占めております。約50%が虚血性心疾患に対する手術で、弁膜症が30%、大血管及び先天性に対するものがそれぞれ10%という割合になっています。
心臓血管外科は平成5年4月の開設以来、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、弁膜症、大動脈疾患(胸部から腹部)、末梢血管疾患(慢性閉塞性動脈硬化症、動脈血栓症)に代表される成人疾患を一貫して扱っております。(先天性心疾患は、心房中隔欠損症のみ手術を行っています) 循環器内科との密接な連携のもと、日々診断および外科治療にあたっております。フットワークのよい、迅速な対応をモットーとしており当然、心血管疾患の緊急手術に対しても24時間体制を整え対応いたしております。これまで心臓大血管手術数は462例、腹部動脈瘤以下の末梢血管手術は322例の手術を行っています。
当科における心臓大血管手術の特徴としては、急性大動脈解離や胸部大動脈瘤手術が多く、また、冠動脈バイパス手術においては、人工心肺を用いないオフポンプバイパスを多く行っております。
心臓外科としては小規模ですが、大学病院や埼玉県立循環器病センターなどの大規模病院との連携をとり、手術に際して疾患個々の重症度や特殊性により適切な協力体制が得られるのも大きな特徴といえます。(腎臓内科との連携による血液透析シャント作成困難例に対するシャント作成、動脈表在化、人工血管を用いたシャント作成なども行っています)
成人疾患の原因である糖尿病、腎疾患、高血圧を合併した患者様がほとんどであり、当院での循環器内科、糖尿病内科、腎臓内科との連携が非常にとれているのも当院の特徴といえます。
心臓手術を行うためには、全身麻酔を担当する麻酔科医、人工心肺を担当する臨床工学技師、看護師などの協力が不可欠ですが、術前に各症例についてのカンファレンスを行い、また、術後も日々治療方針を打ち合わせるなど周術期に、各部署が同じ認識を持って継続した看護、医療を提供できることも当科の特徴です。